コラム

2021/12/10

スマート工場とは?メリットや実現へのプロセスについて紹介

国内製造業でのスマート工場化への取り組みが進んでいるようです。

2019年、スマート工場に関する国内市場規模は84億ドルで、主要10か国の第2位だったという報告もあります。

また、今後も市場は拡大すると見込まれています。

そこで今回は、スマート工場とは何か、メリットや導入へのプロセスについて紹介していきます。

【目次】

スマート工場とは?カギになるのはIoT

まずはスマート工場と、そのコアとなるIoTについて解説します。

スマート工場とは

スマート工場とは、工作機械や生産ラインなどあらゆる設備をネットワークに接続することで、情報管理や工場運営の効率化・最適化を実現するものです。

高度なスキルを持つスタッフや管理者によって運営される従来の工場では効率化に限界があるため、次で説明するIoTをベースに、センシング、AI、ビッグデータなどの最新技術を活用して生産効率の向上を目指します。

スマート工場化のカギを握るIoTとは

スマート工場化にはIoTの導入が必須といわれています。

IoTとはInternet of Thingsの略語で、あらゆるモノがインターネットに接続されて通信することです。

IoTの活用により、工場内で稼働している機器や設備を遠隔で監視・制御できるようになります。

また、作業に伴い蓄積されるデータを収集・分析して、生産性や品質向上に役立てることも可能です。

スマート工場化によるメリットとは

スマート工場化により、次のようなメリットが期待できます。

人手不足と高齢化対策

スマート工場化により、工場労働者の人手不足や作業員の高齢化に対応できるようになるといわれています。

経済産業省の「2021年版ものづくり白書」によると、10年前と比較して製造業における若年就業者の割合は減少し、高齢就業者が増加しているようです。

限られた人員や体力に限界がある高齢作業員だけで、これまでの生産性や品質を維持することは困難でしょう。

スマート工場ではロボットやAIがあらゆるデータを活用することで、これまで以上に自動化・省力化が進むと考えられています。

少人数や高齢者でも無理なく働き続けることができるようになるはずです。

技術継承と人材育成

技術継承や人材育成という点もスマート工場化によりカバー可能です。

熟練作業員の技能はIoTやセンサーにより計測・数値化され、若手作業員の育成や工作機械への継承といった形で活用されます。

また、VRを用いて離れた場所にいる熟練作業員が直接若手の指導に当たることも実現するといわれています。

生産性の向上

スマート工場化による生産性の向上も期待されます。

たとえば工場間をネットワーク接続して、全体の生産状況をもとに各工場の稼働率をリアルタイムで調整することも可能になります。

また、AIを用いた適切な人員配置やロボットによる無人化により、省力化や効率化が期待できます。

さらにセンサーやカメラによるモニタリングで、機械の異音や不良品発生を検知して、故障を未然に防げるようになるともいわれています。

コストの削減

人材の有効活用や工場間における生産性の向上により、高効率な工場稼働が可能となることから、コスト縮減効果も期待できます。

生産設備の消費電力の見える化やAIによる効率的なエネルギー配分により最適化が図られることで、コストやCO2の削減につながるでしょう。

スマート工場化への実現に向けたプロセス

スマート工場化の実現までには3つのプロセスがあります。それぞれ確認していきましょう。

フェーズ1:見える化

IoT機器によるリアルタイムでのデータ収集やセンサーによるモニタリングにより、工場の稼働状況や生産設備の状態を可視化します。

数値やグラフとして見える化されることで、適切な分析に用いることができます。

フェーズ2:制御

可視化したデータの分析結果をもとに、より効率的な生産体制を構築できるように機械を制御します。

たとえば、稼働停止対策として機械の故障予測をベースとした予防保全の実施が挙げられます。

フェーズ3:自律化

AIなどを活用して、分析結果をもとに機械が自律的に学習と制御を行うようにします。

管理者にほぼ依存しない生産体制になるため、生産性の大幅な向上が期待できます。

スマート工場化への流れは世界で起きている

ここまでスマート工場の特徴についてみてきましたが、スマート工場化の流れは日本だけでなく、世界中で注目を浴びています。

各国でのスマート工場化の流れについて紹介します。

ドイツ

スマート工場の先駆けは、2011年にドイツの国家プロジェクトとして提唱された「インダストリー4.0」です。

人・機械・システムによる相互通信・情報共有により製造プロセスの円滑化を実現することを目的としています。

これが世界各国に影響を与えたといわれています。

アメリカ

アメリカでは、2014年に「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」が設立されました。

GE社・AT&T社・Cisco社・IBM社・Intel社などの名だたる企業が中心となり、幅広い産業でのIoTを活用したDXを推進しています。

2021年現在、加盟している企業および団体は140を超えるまでに拡大しています。

インド

2014年、インド国内の製造業を活性化して、GDPの製造業が占める割合を15%から25%にまで向上させる「メイク・イン・インディア」政策が打ち出されました。

目標達成に向けて、製造業の生産性を向上するスマート工場化に注目が集まっています。

中国

中国政府は2015年に、次世代情報技術や新エネルギー車など10分野・23品目における高度化を目的とした「中国製造2025」を公表しました。

建国100周年までに製造強国のトップクラスに立つという目標の実現に向けて、スマート工場をコアとして進められるといわれています。

日本

2016年には、日本において「ソサエティー5.0」が提唱されました。

情報化社会であるソサエティー4.0を次世代施策として、IoTやAIなどを活用してヒトとモノが繋がる快適な社会の形成を目指しています。

まとめ

スマート工場はIoTなどを活用して工場内のあらゆる機器や設備、作業などのデータを収集・蓄積し、分析・活用することで、生産性や製品品質の向上など新たな付加価値を生み出します。

機械による自動化・省力化、熟練技能のデータ化、生産状況のモニタリングなどにより、生産性の向上や技術継承、コスト削減などのメリットが見込めるといわれています。

スマート工場化の流れは世界中で起きており、日本も例外ではありません。「見える化」「制御」「自律化」の3ステップを踏まえ、スマート工場化を推進していきましょう。

 
 

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