医療現場の業務効率化や感染防止対策として注目を集めている電子カルテ。
厚生労働省ではデータヘルス改革の一環として導入を推奨しており、補助金制度の対象となっています。
マイナンバーカードの健康保険証利用や各分野の医療情報データの連携などに伴って、電子カルテの必要性は今後さらに増すことでしょう。
今回は、電子カルテの導入に使える補助金の種類や条件、活用する際の注意点などについて解説します。
導入にぜひお役立てください。
まずは電子カルテの導入で活用されている「IT導入補助金」の概要について確認していきましょう。
2023年4月時点で電子カルテ導入に活用できる補助金には「IT導入補助金」があります。
2017年度から中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施しているもので、中小企業および小規模事業者が、生産性向上を目的にITツールを導入する際に経費の一部を補助します。
通常枠は、日本国内で主として実施している事業の生産性や経営力の向上を目的にITツールを導入する際に申請できます。
ITツール導入費用(ソフトウェア費・導入関連費・クラウド利用料(最大2年分))の2分の1が補助され、補助金申請額によってA類型「5万円以上150万円未満」、B類型「150万円以上450万円以内」という形で分かれています。
IT導入支援事業者が登録しているITツールを導入すること、交付決定前に契約・導入した費用は補助対象外、賃上げ要件などの申請条件があるので留意しましょう。
※2023年4月調査時点
電子カルテの導入でIT導入補助金を申請するには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。
ここからは、申請条件・補助対象経費・補助金額・申請方法についてご説明します。
IT導入補助金の具体的な申請条件は、次のとおりです。
要件が満たされない場合や報告事項の虚偽が発覚した場合は、補助金の返還を求められます。
上記以外にも業種や規模ごとに詳細が定められているので、申請時は以下のIT導入補助金のホームページ(https://www.it-hojo.jp/)などで確認するようにしましょう。
IT導入補助金の対象は、ソフトウェア費および導入関連費、クラウド利用料となります。
電子カルテについても、IT導入補助金の対象です。
ただし、補助金を受けられるITツールはIT導入支援事業者の製品に限るという条件があるので注意が必要です。
対象となる製品やIT導入支援事業者は「IT導入支援事業者・ITツール検索」(https://www.it-hojo.jp/applicant/vendorlist )で検索できます。
IT導入補助金の補助率と上限・下限額については次のとおりです。
中小企業・小規模事業者等がIT導入補助金に申請する流れは以下のようになります
補助金が交付されるのは、申請後にITツールの導入証明と事業実績報告を提出し、交付手続きを完了してからになります。
事業実績報告は提出期限がある上、補助事業者とIT導入支援事業者が共同で作業する必要があります。
この報告によって補助金額が確定され、それを事業者が確認した後に補助金交付となるので、入金には時間がかかると理解しておきましょう。
電子カルテの導入に利用できる補助金は、今後IT導入補助金以外にも出てくる可能性が高いので、他の補助金も常にチェックすることが大切です。
「医療情報化支援基金(電子カルテ標準化に関する補助金)」とは、「標準化された電子カルテ」の普及を目指すために厚生労働省が2019年に設立しました。
政府が電子カルテの統一様式の普及に向けて、導入にかかる費用には補助金を交付するというのが医療情報化支援基金の趣旨です。
詳しい要件はまだ検討中となっていますが、厚生労働省の「電子カルテシステム等の普及状況の推移」によると、2017年時点で200床以上の病院の電子カルテ普及率は60%以上なのに対して200床未満の中小病院では約37%となっている現状を改善するため、中小病院が補助対象になるのではと推測されています。
現在ではオンライン資格確認の導入について2023年4月より原則義務化され、2023年3月末までに導入完了した保険医療機関等に補助金申請を受け付けております。
また電子処方箋の導入についても推進しており、2023年2月20日より補助金申請の受付も開始されております。
電子処方箋導入関連については既存システムの改修も補助金対象ですので、うまく活用しながら厚生労働省の推進する医療DXに対応していきたいですね。
今後も状況次第で新たな補助金が現れる可能性は高いでしょう。
補助金には他の補助金と併用できないものがあります。
例えば、国が管轄している他の補助金や助成金をすでに受けている場合、同じ事業や費目でIT導入補助金を併用することはできません。
また、多くの申請が通る助成金と異なり、補助金はほとんどの場合予算が決まっているため倍率が高く、申請しても通らないケースもあります。
さらに、支給まで1年ほどかかることも理解しておきましょう。
電子カルテの導入には、IT導入補助金が利用できます。
「従業員300人以下の医療法人、または従業員20人以下の個人事業主が対象」
「補助金を受けられるITツールはIT導入支援事業者の製品に限る」
「同じ事業・費目については国の他の助成金や補助金と併用できない」
など条件があるので、事前によく確認しておくことをおすすめします。
また、電子カルテに関わる補助金は、IT導入補助金以外の他の補助金もあります。
電子カルテ以外では、2023年4月からオンライン資格確認の導入義務化に伴い、オンライン資格確認の導入のための補助金の交付もされています。(2023年3月31日までに補助対象事業完了した保険医療機関・薬局が対象)
電子処方箋関連についても、2025年3月31日までに導入完了し、2025年9月30日までに申請することにより補助金を活用できます。
このように導入を後押しするため、政府から補助金が交付される動きがあります。
電子カルテの標準化についても、医療機関の電子カルテ導入を支援する医療情報化支援基金の交付も期待できるので、IT導入補助金以外の補助金も常にチェックしておきましょう。
※オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係
医療機関等向けポータルサイト
https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/
タックの「産婦人科・不妊治療施設向けタック電子カルテシステムDr.F」はIT導入補助金の対象ツールです。
IT導入支援事業者の認定を受けているタックは、補助金申請からサポートさせていただきます。